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年に一度の無礼講
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この夏、一度も海に行けなかったその反動なのか、それとも血のめぐりが少し良くなってきたのか、憧れの海日記、ロケットスタートです。
実は多少気分が晴れてきたのは、10月からの新年度・第62期の年間営業予算書を作成して、ほぼ初めてこの10月の損益結果に予想通りの数字が出てきたためです。
この3年間に悪戦苦闘した事業再構築作業や苦悩のリストラなど、成果が少しずつ出始め、そのスタートラインにやっと着けたとの思いがあります。
いかなる組織・企業体も永遠に絶好調などということは有りません。
常にいま現在をチェックして、更なる改革を実行していかないと滅びます。
トップが替われば尚更のこと、偉大なる先代は先代、バトンを受けた第二走者は全体を維持・把握しながら、声高らかに新しいスタイルとビジョンを提案する必要があります。
そして、その思いを全従業員と共有することができるか、一人ひとりと濃密なコミュニケーションを図って、信頼関係を構築できるかがポイントになります。
この濃密なコミュニケーションと言えば、先日、年に一度の焼酎組合の支部総会がありました。
組合員みんなの目的はシャンシャン総会後の宴席。
何故かというと、税務署の署長さんを筆頭にそうそうたる税務署幹部の皆さんと車座になって焼酎を酌み交わせる、年に一度の無礼講タイムだからです。
通常であれば税務署の署長と酒を酌み交わし、放談することなど有り得ない話ですが、この夜ばかりは酒税業界の懇談会ということで、大いに日ごろ口に出して言えぬことをペロリといってしまえる日なのです。
言わば、年に一度だけ公然と許される御上との濃密なコミュニケーション・ステージ。
鵜飼い漁に例えると、鵜は私たち製造業者、それを束ねる鵜匠は税務署で、さしずめ釣果の魚が酒税となりますが、この夜はご褒美よろしく意外と重要なお願い事も、あっさりとオーケーが貰えたり、本音が聞けたりと毎日が無礼講だったらと思うのです。
署が付く警察署もそうですが、署長さんなどは通常は雲の上の人、しかし、そのまた上には監理官という職があって、国税局に個室を与えられたある意味、絶大な力を持つ怖い人がいます。
そうそう、湾岸署によく来る、あのギバちゃんのような人です。
横道にそれました、この夜、正座して焼酎を注がして頂いた署長は私の親父・亡くなった会長をよくご存知でした。
あなたのお父さんには、実にお世話になったのです、と一昨年初めて名刺交換をした際、色々とお話を伺って驚きました。
恐縮至極の中、聞けば税務署員に任官したての30数年前の若い頃、奥様が体調を崩され、薄給の中から高価なバンキーを購入、一生懸命治療され、無事回復されたとのこと。
いまでもご夫婦でバンキーは続けておられていて、黒酢はやはりライスビネガーが一番ですよとまで言われます。
酔いにふやけた脳裏に親父の得意満面な笑顔が浮かびました。
ふと、いつか何処かの通夜での坊主の説法、「この娑婆は大変厳しゅう御座います」を思い出し、どういう人生の巡り会わせか、この苦しみに満ちた娑婆も、まんざら棄てたものでもないのかと、帰路、日豊本線の暗闇の車窓に浮かぶ桜島を眺めながら、子供の頃、親父に聞かされた南洲翁の名句
わが胸の思いに比ぶれど 煙は薄し桜島山かな
が溢れ出てきました.
最後は中村酒造の社長の音頭で一本〆です。
2010/11/14
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