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恩愛の掟
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未知の敵との遭遇は誰でも緊張するものです。相手の情報が無いからです。
イスラエル周辺の永久紛争の根本的な問題は、決定的には相手とのコミュニケーション不足から起こります。
それが宗教という絶対神に隠れて、正当化され、相手を否定し、やがて戦争となる。
世界中の紛争の種は、この考え方、宗教観の違いに端を発したものが実に多いものです。
翻って、我が国の国会論争を眺めると、実に平和で小学校の学級会のレベルです。
実にどうでもいいようなことを、野党も与党の先生方も馬鹿ばっかり。
論争の根底に相手に対する敬意とか、共通の問題処理観がない、要するに愛が無いのです。
戦後の政治家で、さすがと唸らせるのは、田中角栄が最後。
日中国交正常化の折、晴れ渡る北京での周恩来首相との、互いの指が折れんばかりの握手のシーンは、未だに私の脳裏から消えることはありません。
私は、この田中角栄、功罪の両面を指摘され評価は微妙に分かれるところですが、その志は常に高く、その神がかり的、圧倒的パワーはまさに鬼神。
それでいて政敵からも愛されるお茶目な性格は、過去にその類例を見ません。
その昔、仕事で新潟の地元である小千谷市辺りに泊って、角さんの話を聞けば、先生は雲上人でありながら自分のオヤジでもあるのだという。
その彼の数ある性格才能の中で、私が一番注目するのが、接する全ての人に可能な限りの恩愛を、嫌みなく振るまき続けたこと。
その最たるものが、冠婚葬祭、その中でもその人が一番落ち込んでいるであろう葬には、必ずと言っていいほど顔を出して一声慰めたそうな。
まさに人たらしの要諦。
やはり上に立つものは、いつもニコニコ愛されてナンボ、可愛げがないとダメ。
昨今の国会論戦のように、相手を引きづり降ろしての罵り合いでは何も生まれません。
大体、愛がないよね。
NHK特集の荒廃する家庭の悲鳴なんかを見ていても、また同じような絶望感を味わいます。
親も子も無償の愛など程遠く、自分はこんなにも不幸なのに誰も助けてくれないと、自分のことで精一杯です。
すべてはまず、相手に「与える」ことから始まるのに。
相手から奪い取るだけの習性が身についてしまうと、自分がこの世で一番不幸な境遇にあると考えて、ますます奪い取るだけの行動に出るものです。
相手の幸せを優先すれば、いずれその何倍もの幸せが返ってくることが信じられないのです。
恩愛とは一言でいえば相手を思う情けのこと。
特に夫婦や親子の間の目に見えない愛情を指すといいます。
悲しいことに現代は、親は子を、子は親を殺すことでこれを乗り越え、関係をリセットしようとします。戦前の日本に普通にあった「相手様優先」の美徳が戦後消えてしまったことは事実です。
現代は奪い合いの時代、そんな時こそ、まず先に、相手に与えることから始めましょう。
久し振りの写真は、去年の夏、種子島の浦田浜で一人、たそがれた時の写真です。ここの浜は過去見てきた浜のベスト3に入る美しさです。あまりの美しさに声が出ませんでした。
2009/01/18
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