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三つ子の魂
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新聞で面白い記事を読みました。
現代の人形師は江戸期の人形師に勝てないというもので、江戸期の職人の技は、目や眉、口元などその人形の仕上げの所謂、顔に命を吹き込む作業などの繊細さにおいては、とりわけ群を抜いていたそうです。
何故かというと、現代の高校卒や大學出の人間が弟子入りしても、その年齢からの修行では到底その域には達せず、高いレベルの技術の習得は年齢的に遅すぎて出来ないからだそうです。
何故、江戸期は出来たのか。
これはその当時の教育システムにあるようです。
江戸期は5歳位から寺子屋と呼ばれる手習い塾に、男の子も女の子も入り、本人のレベルにあった、落ちこぼれの無い教育を一人ひとりが受けることが出来ました。
ここにも現代の一律ヨーイドン教育を是正するヒントが隠されています。
そして10歳くらいから、商家の丁稚奉公に入るか、職人の親方のところに年季奉公に入るかして約10年間、親元を離れて、いわゆる「他人の飯を食う」社会生活に入りました。
このときすでに二十歳にして、他人の飯を食った立派な大人が出来上がっていた訳で、文句の付けようの無い立派なシステムだと思います。
そしてこの、幼少の頃からの技術の習得が、若い感性や柔らかい筋肉をもってして初めて、非常にレベルの高い作品の誕生を可能にしたというものです。
要するに、子供の頃から厳しくやれば、何事においても一流になれることを証明しています。
このことは、歌舞伎や能の世界の世襲による、幼少のころからの厳しい稽古が、伝統とともに一子相伝の技や遺伝子を伝えてることを見ると、納得がいきます。
市川海老蔵は伊達にモテてる、わけではないのです。
ここで面白い本を一冊。
徳川恒孝さんの『江戸の遺伝子』。
ご本人は徳川家の末裔で江戸時代の実相を淡々と書いておられますが、この本は目からウロコの、日本人であったことの喜びや嬉しさを教えてくれます。
現代の教育の荒廃やイジメの問題が瞬く間に消えてしまいそうな、江戸時代です。
人は何をもってして人生が楽しく、幸せだったと思うのでしょうか。
少し考えさせられる本でした。
2007/09/16
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